2018年03月18日

先週のメールマガジンから

【全期間固定金利型住宅ローン】2018年03月14日(水)

住宅ローンアドバイザーが顧客に行った全期間固定金利型住宅ローンについての次の説明のうち、不適切であるものを1つ選びなさい。

1.国の財政が悪化すると、国債が売られて固定金利型住宅ローンの指標金利でもある長期国債の利回りが上昇するので、金利上昇要因になります。

2.全期間固定金利型住宅ローンを選択すれば、金利変動リスクを回避できるうえに、将来の金利低下時のメリットも享受することが可能です。

3.複数の全期間固定金利型住宅ローン商品を比較するときは、総返済額を確定できるので諸費用も含めた総支払額で比較するといいでしょう。

4.全期間固定金利型住宅ローンは、変動金利型よりも一般的に適用金利は高くなりますが、将来を見据えた資金計画は立てやすいと言えます。

5.全期間固定金利型住宅ローンの適用金利は、代表的な長期金利である10年物国債の利回りの動きを見ておくことである程度の動きは予測できます。

正解:2

現在日本の国としての財政は借金が多く、けっして良い状態とは言えませんが、まだ多くの市場関係者から信頼されているため、国債が一方的に売られるということにはなっていません。万が一この信頼がなくなり、国債の信用が低下すると高い利息を支払わないと誰も国債を買ってくれなくなります。国の財政は借金をしないとやっていけない状態ですから、そうなったときは金利の上昇が予想されます。固定金利型住宅ローンの指標金利は10年物をはじめとする長期国債の利回りですから、1.のようなときは固定金利の金利水準も高くなります。1.の内容は正しいものです。

全期間固定金利型住宅ローンでは、金利はずっと変わらないために金利変動リスクは回避できると言えます。気をつけなければならないのは、金利リスクそのものは全期間固定金利型住宅ローンにもあるということです。将来もし金利が下がった場合、変動金利型でしたら金利低下のメリットを受けられますが、固定金利型では金利は変わりませんから、金利低下メリットは享受できません。2.は後半部分が誤りです。金利上昇時には金利は変わらず、金利が低下したらこのときは下がるといった住宅ローンがあれば、利用者にとっては望ましいことですが、住宅ローンを提供する金融機関にとってはもうからない商品になってしまいます。利用者と提供者の双方がそれなりのメリットのある商品でなければ、世の中に存在しえないということなのでしょう。

全期間固定金利型住宅ローンは、借入時に総返済額を計算することができます。もっとも返済額だけでしたら、金利に応じて返済額も決まってきますから、総返済額だけの比較でしたら金利を比べればわかります。しかし、住宅ローンには保証料や取扱手数料等の諸費用もかかります。これは定額の場合もあれば融資額に応じて決まる場合もあり、金融機関ごとに様々です。金利の安さだけで決めてしまうと、こうした費用が高くついて結局は負担が増えてしまったということにもなりかねません。そうしたことのないように、返済額の諸費用も加えた総支払額で比較すれば、確実に負担の少ない住宅ローンを選ぶことができます。こうした比較方法は、全期間固定金利型住宅ローンの顕著なメリットの一つといえます。3.は正しい説明です。

変動金利型住宅ローンの適用金利は、短期プライムレートに代表される短期金利を指標にしています。固定金利型住宅ローンは、前にも説明した通り長期国債の利回りをはじめとする長期金利を指標にしています。一般的に短期金利と長期金利を比べると、将来の不確実性が大きい長期金利のほうが高くなります。そのため、変動金利型よりも固定金利型のほうが住宅ロ−ン金利は高くなります。しかし、これも説明したように返済額は確定していますから、子供の教育資金や自分の老後資金、さらには繰上げ返済等についての資金計画は立てやすいというメリットがあります。4.の内容も正しいものです。

10年物国債の利回りは、長期金利の代表的な指標金利になっています。全期間固定金利型住宅ローンの金利も例外ではありません。10年物国債の利回りから具体的に住宅ローンの金利は何%になるといったことは、予測できるわけではありませんが、それでも10年物国債の利回りの上がり下がりから、住宅ローン金利の動向を予測することは可能です。住宅ローンを借りようという人や、借換えを考えている人がタイミングを計る際に参考になることでしょう。5.も正しい説明です。

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 編集後記
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今週もお読みいただき、ありがとうございます。

日本の義務教育は、明治初期の制度が定着していない時期を除けば、3〜4年、6年、そして現在の9年と長くなってきました。世界的にも教育期間はだんだん長くなっていく傾向があるようです。そして現在の日本では、義務教育ではなくても、ほとんどの子供たちが高校まで行くようになりました。これも今から50年くらい前の高度経済成長期には、中学を卒業した子供たちが「金の卵」などといわれて集団就職していた時代から、教育期間が延びたものと見ることができます。大学進学率にしても、私が大学受験生だったころは30〜40%くらいだったのではないかと思いますが、現在では50%を超えています。

このように教育期間が長期化することは、それだけ社会にゆとりができたということが言えるとともに、社会が高度化、複雑化して長い教育期間を必要とするようになったということも言えるとと思います。つまり、世の中が複雑になったので一人前になるのに時間がかかるようになったということです。同時に、社会は発展して平均寿命も延びています。一人前になるのに時間がかかっても、一人前の大人になって活躍できる期間は減っていません。むしろ増えていると見ていいように思います。

このような状況の中、成人年齢の引き下げの動きが現実のものとなっていることにはどうも納得ができません。世界的に18歳を成人年齢としている国が多いというものの、教育期間と平均寿命の延びは、世界的な傾向でもあるはずです。そうだとするなら、今後世界の国々が成人年齢の引き上げを検討することになるはずで、平均寿命がすでにトップクラスの日本がわざわざ引き下げる必要はないように思えてなりません。消費者被害など、成人年齢を20歳から18歳にすることの弊害も予想されているわけですから、成人年齢の引き下げにはもう少し慎重な姿勢であっていいように個人的には思っています。
posted by 星野FP事務所 at 00:00| Comment(0) | メルマガから | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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