2018年03月11日

先週のメールマガジンから

【繰上返済の性質】2018年03月06日(火)

繰上げ返済に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

1.一部繰上げ返済には、その方法に「期間短縮型」と「返済額軽減型」の二種類があり、同じ金額を繰上げ返済するのであれば、前者の方が利息軽減効果は大きい。

2.固定金利期間選択型住宅ローンで、固定金利期間中は原則として繰上げ返済できないが、やむを得ず繰上げ返済する場合は、通常よりも手数料が高くなる。

3.同じ金額を繰上げ返済するなら手数料を考慮しなければならず、こまめに繰上げ返済を行う場合と、まとめて行う場合とでは、後者の方が利息軽減効果は大きい。

4.保証会社の保証付き住宅ローンで、保証料を一括で支払っていると、全額繰上返済だけではなく一部繰上げ返済でも、支払った保証料が返戻されることがある。

5.期間短縮型の繰上げ返済をして残りの返済期間が8年になった場合、8年間全て金利を固定金利にするためであっても10年固定を選択することはできなくなる。

正解:3

繰上げ返済には、全額を繰り上げて完済してしまう全額繰上げ返済と、ローン残高の一部分を繰上げ返済する一部繰上げ返済があります。一部繰上げ返済には、繰上げ返済をして返済期間を短縮する「期間短縮型」と、期間は変えずに毎回の返済額を少なくする「返済額軽減型」があります。同じ金額を繰上げ返済した場合、「期間短縮型」と「返済額軽減型」を比べると、繰上げ返済直後は同じローン残高であっても、早く返済が終わる「期間短縮型」の方がその後に支払う利息が少なくて済みます。つまり、利息軽減効果は「期間短縮型」のほうが大きいということになります。1.の内容は正しいものです。

固定金利期間選択型住宅ローンは、金利スワップというデリバティブの手法を使って金利を固定しています。もしこれを途中で止めてしまったり、何らかの変更を加えたりする場合は、金利スワップ取引を解消することから違約金がかかります。そのため、このようなときの手数料は通常よりも高くなります。2.の記述も正しい内容です。一般的には、高い手数料を支払ってもメリットの出る借換えの場合などに全額繰上返済をするといった使い方があります。固定金利期間が終了して変動金利になったとき、あるいは次の固定金利特約を入れる際に繰上げ返済をすることができます。

繰上げ返済は、もちろん少ない金額よりは多い金額を返済したほうが利息軽減効果は大きいのですが、同じ金額なら少しでも早く返済したほうが、発生する利息を抑えることから、利息軽減効果は高くなります。ですから、100万円を繰上げ返済するとき、1年後に100万円一括で返済するよりも、毎月10万円ずつ10ヵ月で返済したほうが、利息軽減効果は高くなります。3.の記述は逆で、前者、すなわちこまめに繰上げ返済を行う場合の方が利息軽減効果は大きくなります。3.の記述が誤りで、これが本問の正解です。実際には繰上げ返済に手数料がかかることがほとんどですので、あまり細かく分けて繰上げ返済すると、手数料がかさんでしまって利息軽減効果を減じることになります。フラット35では繰上げ返済手数料はかかりませんが、1回あたりの返済額を100万円以上とするというルールがあります。金融機関の手間とコンピュータシステムへの負荷を考慮したルールです。

住宅ローンの保証料は、ローン金額と返済期間に応じて決められています。繰上げ返済をして当初の予定より早く完済してしまった場合はもちろん、一部繰上げ返済でも、返済期間を短縮したり、返済期間を短縮しなくてもローン残高は予定よりも早く減らしていますから、保証料を計算すると払い過ぎになることがあります。この場合は支払った保証料が戻ってきます。4.の内容は正しいものです。保証料を分割で支払っている場合は、繰上げ返済を行った以降の保証料が安くなりますから、保証料の返戻は原則としてありません。

固定金利期間選択型で、8年固定という期間が選択できればいいのですが、多くの金融機関では5年固定や7年固定の次は10年固定となっていることが多いようです。繰上げ返済の結果、残りの返済期間が8年になった場合、8年間全部を固定金利にしたいと思っても、10年固定を選ぶことはできません。5.の記述は正しい内容です。一般的に、固定金利期間が長いほど金利は高くなります。仮に8年間金利を固定できたとすると、その場合の金利は10年固定よりも低いはずと考えられます。それにもかかわらず金利の高い10年固定を選ぶことは、利用者に高い金利を支払わせることになるため、金融機関のコンプライアンス上問題となります。利用者がいいと言っているとしても、金融機関がそう言わせているのではないかと疑われることから、金融機関がそのような取扱いはしていません。残り8年となった場合、5年固定や7年固定を利用しても数年分は金利変動リスクが残りますが、ローン残高も減っているため大きなリスクでもないと考えるべきでしょう。

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 編集後記
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今週もお読みいただき、ありがとうございます。

本格的に花粉の季節となりました。どうも調子が出ません。そして、東日本大震災の発生から7年となります。あの忌まわしい記憶が、調子が出ない一因でもあるように思います。東北の故郷に思いを寄せながら、自分自身でもまだ乗り越えなければならないものがあることを自覚しなければならないのでしょう。でも、できることには限りがあります。それなら、できることから始めるしかない、そんなことを思う春、三月です。
posted by 星野FP事務所 at 00:00| Comment(0) | メルマガから | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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