住宅取得の準備段階あるいは検討期間中に求められる住宅ローンアドバイザーの助言や役割について、次の中から適切なものを1つ選びなさい。
1.住宅価額の全額を融資する住宅ローン商品があるので、住宅を購入しやすくするためにそうした商品を優先して勧めるとよい。
2.変動金利型住宅ローンは、将来の金利リスクが大きいので、低金利の時代には例外なく利用しないようアドバイスするとよい。
3.住宅ローンの返済は長期間にわたるため、家族構成の予定が判然としないうちでも、早くに住宅を購入して返済を始めたほうがよい。
4.住宅の物件探しと並行して資金計画が必要であることを十分に説明して、資金面に関して具体的なアドバイスを行うとよい。
5.住宅ローンの金利は頻繁に変わるものであり、住宅購入の検討段階から金利についてアドバイスをしても意味のあることではない。
正解:4
頭金なしで住宅ローンを組むことを、一概に否定はできませんが、原則としては2割程度以上の自己資金を準備して、できるだけ借金は少なくするようにして住宅ローンを利用するスタンスが望ましいといえます。自己資金は十分あるけれども、住宅ローン控除をできるだけ多く利用したいなどの目的があれば別ですが、1.の内容は原則論にはそぐわないものです。
住宅ローンの金利選択の原則は、低金利時にはそのメリットを生かして長期の固定金利を、高金利のときは将来に金利低下をねらって変動金利を利用するというのが一般的です。結論だけに着目すると、2.は低金利時に変動金利は利用しないということですから、原則論には合っています。しかし、原則論はあくまで原則論であり、例外なくとまでは言うことはできません。現に現在の低金利は、結果論ですが過去20年近くも続いていて、低金利のまま返済を終えるという人も出てきています。また原則論は長期の返済を前提としているので、いずれ相続や退職金でまとまった資金が入る予定があり、それで繰上げ返済するような場合は、現在の低金利のメリットを十分に活かしたほうがいいということになります。2.は必ずしも正しいということはできません。
給与所得者であれば、住宅ローンの返済は定年までに終わらせたいものですし、自営業者でも高齢となる前に返済を終わらせたほうが老後の生活は安定します。しかし、若いうちに住宅ローンを組んだほうがいいかどうかは人それぞれです。40歳を過ぎて収入が高いレベルで安定したほうが、返済しやすいということもあるかもしれませんし、結婚をして子供ができて、家族構成がある程度固まってからのほうが、家族に適した住宅を選びやすいということもあります。利用者の考え方やライフプランにもよりますから、一概に早く住宅を購入したほうがいいとか、じっくり考えに考えてからのほうがいいとか、そうしたことはなかなか言えるものではありません。3.の説明に当てはまる人がいたとしても、一般には正しいものとはいえません。
住宅を取得するとき、どのような物件がいいかということについては、取得者の希望が重要ですが、希望の制約要因となるのが資金に関する要素です。物件の希望と資金面とが、あまりにもかけ離れてしまってはなかなか住宅取得が現実のものになりませんから、物件を検討する段階から資金計画が必要なことをきちんと説明をして、具体的な資金計画をもって物件選びも行うようにする必要があります。まだ先のことだから、ということではなく、今借りるならこういう住宅ローンで、こういう利用の仕方がありますといった具体的なアドバイスをすることで、利用者の考えもまとまって実際に利用するときに理解しやすくなります。4.の説明が正しいもので、これが本問の正解です。
変動金利型住宅ローンの金利は、半年に1度見直されます。これは実行後の金利だけではなく、実行時の金利についても同様です。固定金利型の実行時の金利は、毎月見直されていて、場合によっては月の半ばでも変更されることがあります。しかし、だからといって検討段階から金利についてアドバイスすることは意味がないわけではありません。どういう仕組みで金利が動いているの説明を受けて、実際に自分が利用するつもりで金利の動きを見ていくと、金利についての理解が深まって変動金利にしろ固定金利にしろ、住宅ローンが利用しやすくなります。5.の説明は誤りです。
=======
編集後記
=======
今週もお読みいただき、ありがとうございます。
先日、トイレの水が出なくなりました。断水か?と思いましたが、家中の他の水道に異常はありません。近所でも特に変わった様子もなく、うちのトイレだけがおかしいようです。
こういう時は、早く専門の業者を手配してもらうに越したことはないと思って、マンションの管理事務所に行ってみたものの、あいにくその日は定休日で誰もいませんでした。やむを得ず管理組合が委託している業者に電話をかけ、来てもらうことにしました。
そうこうしていても、トイレは使いたくなります。水が出ないのはトイレだけなので、バケツに水を汲んで流すことにして使っていました。ふと見ると、便器の横の奥のほうに蛇口があります。そういえば今朝、トイレ周りを掃除して、この蛇口が中途半端に開いていたのでしっかりと閉めたことを思い出しました。
もしかしてと思って蛇口を開けると、手洗いの蛇口から水が出始めて、ちょうどトイレタンクがいっぱいになったくらいに自動的に止まりました。そしてトイレの水を流すと普通に流れます。どうやら掃除の途中に、何気なく閉めた蛇口が原因のようでした。あわててまた業者に電話をして、訪問の約束をキャンセルしてもらいました。
この日は普段行き届かないところまで掃除をして、自分なりにはよく家事をしたと思っていたものの、そのことが故障の原因だったとは。ちょっと働いたくらいでいい気になってはいけないぞと、神様に叱られた気分になりました。