2017年07月30日

先週のメールマガジンから

【適合性の原則と住宅ローンアドバイス】2017年07月26日(水)

住宅ローンの説明やアドバイスを行う際についての次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.住宅ローンのアドバイスを行うにあたり、利用者の家族構成や勤務先、収入等プライベートなことに立ち入るべきではない。

2.ボーナス返済の利用の有無で年間返済額は変わらないので、毎月の返済を抑えたいという顧客にはボーナス返済を勧めるとよい。

3.固定金利期間選択型を利用する場合、返済額に関しては変動金利型よりも急激に増加する可能性があることに留意すべきである。

4.これから住宅を購入するという人に対して、住宅ローンの返済途中での住宅の売却について聞くことは、控えるべきである。

5.未払い利息が発生するのは変動金利型だけであるので、実行時に変動金利型を選択しなければ未払い利息の説明は不要である。

正解:3

住宅ローンのアドバイスを行うにあたっては、個人情報をいかに集めるかがポイントになります。現在どのような住宅に住んでいて、家族はどうなっているのか、子供がいるなら何歳か、親御さんと同居しているのか、今後同居の予定はあるのか等、さまざまな情報があったほうが的確なアドバイスにつながります。勤務先や収入についても把握して、無理のない返済計画をアドバイスする必要があります。1.の内容は正しくありません。

ボーナス返済を利用するということは、借り入れたローン金額の一部を半年ごとの返済にするということになります。すべてを毎月支払おうと、一部を半年ごとにしようと、返済することに変わりはありませんが、最近はボーナス返済が負担になって返済できなくなるケースが増えています。企業の業績によってボーナスの金額に変動があったり、ボーナスそのものが出なかったりすることで、返済不能となることがあります。また、半年返済の部分は、毎月返済部分より利息が多く発生しますから、トータルで見るとボーナス返済を利用すると支払総額は増えます。2.の内容は、前半部分は事実関係として誤りですし、後半部分も正しいとはいえません。

変動金利型住宅ローンは、金利は半年ごとに見直されますが、返済額は約5年間は変わりません。また、返済額が増加する場合でも1.25倍を上限とするというルールになっています。固定金利期間選択型は、固定金利期間中はもちろん金利は変わりませんし返済額も一定です。しかし、固定金利期間が終了して新しい金利が適用される場合、新金利による返済額がそのまま適用されます。金利が上がっていれば、返済額もダイレクトに増加します。変動金利型のような1.25倍までといったルールはありません。そのため、返済額の増加という点に関しては、変動金利型よりも急激に増える可能性があり、この点には注意しなければなりません。3.の説明は正しいもので、これが本問の正解です。

住宅の購入は、生涯を通しても大きな買い物であり、通常は何度も売ったり買ったりするものではないかもしれません。しかし、家族の成長にあわせて住み替えたり、将来的には親の介護を考慮したりなど、家に対する考え方は多様化しています。住宅ローンの返済が終わらないうちに売却するのは、住宅ローンの返済ができなくなった場合もありますが、それだけに限られるわけではありません。特に当初から売却を念頭に置いている場合は、住宅ローン控除の関係や、近隣の地価、マンション価格の動向など、さまざままことを考慮して返済計画を立てておいたほうがいいので、アドバイスする場合は失礼にならないようにヒアリングしておかなければなりません。4.は正しくありません。

変動金利型には、前で説明したように返済額の増加に一定の歯止めがかかっています。そのため、金利が急激に上がると金利の上昇分に返済額の増加が追いつかず、未払い利息が発生することがあります。これは変動金利型に特有の現象であり、全期間固定金利型はもちろん、固定金利期間選択型でも発生することはありません。しかし、固定金利期間選択型は、固定金利期間終了後に変動金利型に切り替えることができます。変動金利型にすると、当然未払い利息が発生する可能性が出てきますので、実行時に固定金利期間選択型であっても、未払い利息の説明が不要ということにはなりません。5.の内容も正しくありません。

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 編集後記
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今週もお読みいただき、ありがとうございます。

今週は、相模原の障がい者殺傷事件から1年となりました。大変いたましい事件ですが、1年が経ち犯人捕まっているにもかかわらず、いまだに裁判が始まらなことに違和感を感じます。これだけの事件ですから、犯人の精神鑑定もやっておくべきということもわかります。ただ、マスコミとの間で交わされた手紙などを見ると、この犯人は十分に刑事責任を問える人間だろうと思います。

そして思ったことは、この事件は極端な優生思想を持った者が起こしたテロ事件ではないかということです。優秀と考えられる、あるいは異常ではないとされる遺伝子のみを選別して残そうとする優生思想の考え方は、建て前上は否定されていますが、出生前診断による堕胎など、現実には完全に否定しきれていない現実があります。その適否はともかく、どのような思想であっても思想信条の自由は認められています。しかし、それによって殺人は正当化されません。ISに共鳴する者がどんなに熱心な宗教者であっても、テロ行為は認められません。

テロ犯罪の抑止ということでは、今年テロ等準備罪が新設されました。ただ、相模原の事件のような単独犯による犯行の場合、組織的犯罪集団ではないため、この法律による取り締まりは難しいとも考えられます。一方で、昨年フランスで花火大会の人ごみにトラックで突っ込んで多数の死傷者を出すといったテロ事件も起こっています。こうした犯罪は、日本でも秋葉原事件に見られるように単独でも可能です。そうすると、いろいろスッタモンダあってようやく成立したテロ等準備罪ですが、それでもまだ十分ではないのではないかと考えてしまいます。

障がいのある方々が、自分たちにも生きる権利があると主張することは当然のことです。当然のことだからこそ、次のテロを抑止し、障がい者に限らず人の命を守るために何が必要なのか、と考えることがあってしかるべきです。事件から1年経ったところで、そういう議論もあっていいように思います。
posted by 星野FP事務所 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | メルマガから | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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