2006年11月12日

地震デリバティブ

 大地震が起きると、融資残高の半額が補償金として受け取れるという新型ローンのことが新聞に出ていました。りそな銀行、野村證券、損保ジャパンの3社が、経産省と共同で始めるということですが、まだその詳しい内容は3社とも今日(11/12)現在まだ発表はしていないようです。記事によりますと融資金利が数%高くなるということなので、この分が保険料分ということになって、返済が進めば保険料は逓減しますが、受け取る補償金も融資残高の半分ですから、これも減っていくということになります。

deribaloan.gif

 記事にもありますが、被害を調査して損害額を算定してからその被害金額に合わせて支払われる保険と違って、予め決めた規模以上の地震が、予め決めた地域で起これば、損害の有無にかかわらず補償金が支払われるのがデリバティブの特徴です。天候デリバティブなどもそうですが、使い方を間違えると射幸心を煽る面があるだけに、本業の儲けよりも補償金をもらった方がいいということにならないようにしなければなりません。私が銀行で天候デリバを扱っていた頃は、より大きな金額で契約できればそれだけ銀行の儲けも多くなるだけに、銀行に勝手にやらせるとマズイだろうということで契約対象先と契約金額については保険会社がしっかり管理していました。

gamble.gif

 天候デリバの場合ですと、例えば遊園地などの屋外遊技場のような雨は降ってほしくないという企業と、ゲームセンターなどの屋内遊技場で雨が降った方が客足がこちらに向いてくれていいという企業があって、反対の契約ができるので成り立っていました。震災ということで考えると、多くの企業は経営上のマイナス面でのリスクを考えますが、実際には震災後の復興で景気の良くなる業種もあります。ただこのような地震デリバで通常懸念する反対のリスクのために契約をする企業があるかどうかと考えると、恐らく期待はできないだろうと思います。そんなことで経産省も共同でということのなるのかもしれません。

 predictor.gifもし将来的に地震デリバ市場のようなものができたときに、あたかも地震が起きてほしいかのような言動をする人も出てくるかもしれません。反社会的ではありますが、それは地震デリバを機能させて地震被害をヘッジするためには必要な人たちと考えることも必要です。時々「近いうちに大地震が起きる」と“予言”する人が出てきますが、予言だけではなく市場に資金も出すことで、世の中に予言以上の貢献ができるようにもなります。怪しげな“予言者”も使いようということでしょうか。




posted by 星野FP事務所 at 14:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 金融全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
Posted by 生命保険の選び方 at 2010年09月21日 00:10
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